発掘現場へようこそ その3(臭うぞ)


ある現場で江戸時代中期の「公衆便所」が出た。
おかげで、毎日毎日毎日毎日、「便がめさん、こんにちは♪」状態。
それはまぁ、別段構わないのだが、どうにも部屋の空気が、そこはかとなく酢いぃ〜のである。
居眠り防止の為(?)手を動かしながら、延々おしゃべり(コラコラ)。
調子に乗っていると、水しぶきが口の中に飛んできたりする。

 ああ、いっきに、心が寒くなるこの瞬間……。
 だって、この茶色い水の正体を私は知ってるんだもん。

 うきーー 便がめはもういい〜〜!
数人でブチブチ言っていると、外業(掘る方の仕事)の友達が壊れた。

「なーーに言ってるんですかーー!! 私ゃ巨大な便がめに中に入って糞掻き出したんですよーー!! 匂いつくしぃー! もうお嫁に行けませんよ、むきぃいーーー!!」

おおお、吠えている。
うら若き乙女が汗まみれな上、糞まみれ。
そりゃ吠えるしかありますまい。

しかし、やがてあきらめの境地に到ると……。
便がめに触れながら、皆口々に……

「こいつ時効がまだですぜ……」

などと、ニヒルに微笑んでいた……(危ない)。


教訓:江戸時代じゃ、まだまだ…。



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