呪言 その3


その昔、スプーン曲げが「おおおっ!?」ともてはやされていた時代、超能力者がテレビの視聴者に向かってテレパシーを送る……というような実験をやっていた。

「さて、ユリ・○ラーは、今、一体何を見ているのでしょう〜〜」

とかなんとかナレーションが響く中、外人のおっさんが真剣に「何か」を見つめている。
今、彼は見つめている「何か」をテレパシーでお茶の間のみなさまに送っているというのだ。
もちろん顔は大写し。う〜〜んとっても気になる。

おかん、私、弟、妹で仲良く画面に食い入っていると、ふいに隣室で爆睡中のはずのパピー(父)の声が聞こえた。
半開きのふすま越しに何やらブツブツ言っている。
寝言だか話しかけてきているのだか今ひとつ分からず、皆で聞き耳を立ててみる。と……

父「と…り…い…… あかい とりい……」

母「何言ってるの? おとうさん?」

父「じんじゃのとりい……  くかーーーzzz」

 何じゃそら……(ー ー;)

寝ているときも人騒がせなパピー。
気味の悪いセリフに一瞬ドキッとしたものの、寝言にもいい加減なれてしまっている私達は、ま〜た訳わかんないこと言ってるよ……とあっさりテレビに視線を戻したのだった…… が!
番組の最後、ユリ・○ラーが見ていた「何か」の正体が明らかになったとたん、薄ら寒〜い空気が私達を包んだ。
だって、画面いっぱい大写しになっているそれは……

 神社の…… 赤い…鳥居……!?

ここここっ怖い、怖すぎるぞ、パピー!!
一体、何者なのさーーっっ……!!?



それ以来、96パーセント「やらせ」だと思いつつも、疑いきれないのよ、ユリ・○ラー!!



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