GGF(ぐれいと ぐらんど ふぁーざー) その2


幼稚園児だったある日、爺様に手を引かれて、電車でお出掛け。
ホームに来た電車に乗り込むべく前方を見ると、ドアの入り口付近を占領するかのように、いかにも悪そうなヤンキーのお兄さま方が数人たむろっていた。
たぶんちょっとツッパッた高校生…なのだろうが、幼い私にとっては、本物のヤクザさんと大差ない(区別つかんし〜。ただ、オッサンではなく、兄ちゃんやった)。
それが、私達の向かっている車両の一番近いドアにいた。

 うぎゃ〜 危険、危険、危険〜〜!!!

はっきし言って怖い。見るからにヤバそう。
他の乗客達もそのドアを避けて、他のドアから乗車している。
しかし……

 嗚呼あぁ〜 やっぱ行くのね、じーちゃんっ!?(T T)

爺様はまるきり構うことなく、まっすぐにその危険ゾーンに踏み込んでいく。
そして……

邪魔だっ!! 」( 大喝

大正生まれにしては恰幅の良い長身から、ヤンキーに向けて大上段に怒声を浴びせかけたのである(特にビール腹の威圧感が素晴らしい)。

 出た……。やってもーた……(硬直)。

 逆上したヤンキーがナイフ出したらどうしよ〜っ!
 でもでもでもでも、私がじーちゃんを守らないとぉ〜!!(今なら逃げてる…)

心臓はバクバク、頭はやたらと回転数が上がって、一瞬の間に危機対策シュミレーションが流れ去る。
とりあえず、後ろから刺されでもしたら大変なので、ドキドキしながら後方もチェック〜!!(時代劇見過ぎ…)

しかし、爺様の一喝に畏れをなしたのか、それとも、変な爺さんとはお近づきになりたくなかったのか(こっちだろうな)、ヤンキー達は「なんだぁ?」とかブツブツ言いながら、ドア付近から離れていった。

 ブラボォ! じーちゃんの勝利! じーちゃん無敵ーー!!

見上げる私の目からは尊敬ビーム!……爺様の株はますます上がり続けるのであった。


けど、もう止めてね……(心臓に悪いし)



back