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▼ ヒッポリュトス

 ゾンビじゃないよ〜!


 ヒッポリュトスはアテナイ王テセウス(半牛半人の怪物ミノタウロスを倒した英雄ね ※1)の息子。
 純粋で清潔な青年ヒッポリュトスは、過剰なまでに潔癖性の月の女神アルテミスを深く信仰し(似たもの同士か!?)、美しい娘達に目もくれなかった。
 ところが、そんな奴ほどモテるのさ…というわけで、若く美しいヒッポリュトスを慕って苦しむ美女が一人……。
 その美女の名はパイドラ。なーんと、ヒッポリュトスの継母様!
 継母といっても、テセウスが後妻として迎えた若い妻。中年オヤジのテセウスに飽き飽きして、若くて男前のヒッポリュトスに走るのもなんとなく納得。

 さておき、道ならぬ恋に思い悩み、みるみるやせ衰えていくパイドラ。見かねた乳母がついに立ち上がる。
「こうなったら思いを遂げるのです! お嬢様ー!!」(おいおい)

 ところが、パイドラの想いを知ったヒッポリュトスは「汚らわしいっ!」と一刀両断。 激怒し罵声を浴びせかける(そこまでせんでも… 汗)。
 いたたまれなくなったパイドラは、首をつって自殺。ただし……
「ヒッポリュトスにしつこく言い寄られた」と訴える遺書を残して…(あんたも、やりすぎ〜!)

 当然、若い奥さんにメロメロのテセウスは大激怒!
 ことの次第を確かめもせずヒッポリュトスを追放した上、飽きたらずに父親であるポセイドンに祈りを捧げた。
「あのバカ息子に天罰をー!! いっそ、あの世行きにしちゃって下さーい!!」

 ―― OKー!!

 というわけで、ヒッポリュトスが海辺で馬車を走らせていると、突如、海中から怪物が襲いかかり…… 馬が驚き暴れた為に、ヒッポリュトスは馬車から投げ出され、ご臨終遊ばしたのでありました……。おしまい(あっさり)。

 ちょーっと、待ったァーー!!

 ここに義憤にかられる女神が一人……。そう、アルテミスさん。
 彼女の熱心な信者であるヒッポリュトスが、無実の罪に陥れられ命を落とすなんて、納得出来ないわー!!……ということらしい。
 
「だいたい、継母が言い寄ったのだって、アフロディテ(愛と美の女神)が恋心を吹き込んだからでしょ! あの軽薄な年中花咲か女は、清潔なヒッポリュトスが恋愛沙汰に見向きもしないのが許せなかったのよ!」
 と、衝撃の黒幕も暴露!(なんと!)

 でもって、死者をも蘇らせる天才名医アスクレピオース(アルテミスの甥っ子 ※2)にお願いし、ヒッポリュトスは見事、黄泉返らせてもらいましたとさ……。今度こそおしまい。


 ※1 詳しくはテセウスの回参照〜!
    ちなみに、パイドラはアリアドネ(ミノタウロス退治の際、さんざんテセウスを助けたのに捨てられた姫)の妹。

 ※2 アスクレピオースの回参照。
    死者の蘇生を禁じられていたアスクレピオースは、ヒッポリュトスを蘇らせた為に、罰としてゼウスの雷を受けて、殺される。


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