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▼ ハルピュイア

 害鳥って誰のことよっ!?


 バッサバッサ空から舞い降りては、ギャアギャア鳴いて食卓に群がり、他人様の御馳走をかすめ取る。その上、頭上からは、汚物や悪臭をまき散らす!
 そいつの正体は…… カラス!…でもハゲタカでもなく、答えは怪鳥ハルピュイア!(ハーピーと言った方が分かり良い?)

 鳥の体に、女性の顔、耳は熊に似て、鋭いかぎ爪を持っている。
 半人半鳥…といえば、既に紹介済みのセイレーン(甘い歌声で船を難破させる海の怪物)を思い出すかも知れないが、ハルピュイアの方がはるかに凶暴で醜い&脳味噌少なそう〜(散々やな。※1)。

 ハルピュイアの名は「掠める女」という意味で(つむじ風が神格化したものだとか)、アエロ(疾風)、オキュペテ(はやく飛ぶ者)、ケライノ(黒い嵐雲)の三姉妹の名が知られている(けど、人数はもっと多いらしい)。

 こんな野性味溢れる(?)ハルピュイアだが、れっきとした海神の血筋(※2)。
 なんと、ヘラ女神の伝令役・心優しい虹の女神イーリスと姉妹だったりするから驚きである!?

 彼女達の有名登場シーンといえば、アルゴー号に乗った英雄達に追っ払われる話(やっぱ、やられ役かーい! ※3)。

 ……あるところに、アポロン神から授かった予言の力を悪用して、盲目にされたピネウスという王がいた。
 彼の悩みは、食事の度に現れ、食卓を荒し汚してゆくハルピュイア(王への罰として派遣されている。公務です〜)。
 まともに食べることも出来ずに餓死寸前のピネウス王であったが、「北風ボレアースの息子が来たら食事が出来る」という神託だけを一縷の望みに我慢の日々…。
 そこに颯爽と現れるのがアルゴー号御一行。
 その中には神託どおり北風の息子・カライスとゼーテースという翼を持った兄弟がおり、彼らはピネウス王の懇願を受けてハルピュイア退治に乗り出したのである!
 翼を持つ英雄に追いつめられ、斬り殺されそうになるハルピュイア!
 その時、姉妹である虹の女神イーリスが現れて「もう二度とピネウス王を襲わない」ことを約束。
 ハルピュイア達は、危機一髪、命拾いしたのでした〜。

 …って、神様の命令通りに働いてたのに何でこんな目にっ!?
 損な役回りよね、怪物って……。
 
 
 ※1 私の勝手なイメージ。

    セイレーン → 鳥の足をもった人間(デビルマンの妖鳥シレーヌ風←よけい分かりにくい!?)。

    ハルピュイア → 人の顔をした鳥。
           (胸まで女性や、翼の生えた女性…とする説もあり。
            また、顔も老婆から幼女説まで色々〜)

    ちなみに、セイレーン同様、人魚の原型になったと言われている。


 ※2 大地母神ガイアと不毛の海神ポントスの息子であるタウマス(海の驚異とか不思議を司るらしい。怪物って記述もみかけたけど… ^^;)と海神オケアノスの娘が交わってハルピュイアが生まれたそーな……。

 ※3 大勢の英雄達が「黄金の羊の毛皮(←牡羊座になった羊)」を求めて、アルゴー号に乗って旅に出た。冒険譚「アルゴー遠征記」は有名。


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