〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

▼ 名物スポットにいらっしゃ〜い♪(その2)

 神々の宴会場!? ―― 天界


 愛の女神の暇つぶし企画「神話世界一周旅行」に付き合わされるハメになった貴方。
 それでは今週も、貴方にメロメロの太陽神アポロンの案内で、行ってみよー!。

アポ「ハ〜ニぃ〜♪ 一週間もお話しできなくて寂しかったよーん。さ〜て、せっかく空に来たんだし、お次は天界かな〜」

貴方「おおっ、天界? もしやあの雲の中に!?」

 上空を指さす貴方に、にっこり笑って首を振るアポロン。

アポ「ハニーはロマンチストだなぁ。けど、残念。空の果ては鉄みたいな堅い物質で出来てるらしいよ。ほら、天はドーム状にこの世界を覆ってるだろう? だから、太陽の馬車を走らせるときなんかも、ちょっとしたコツが必要でね、あんまり上空を飛びすぎると天を焦がすって…怒られるんだよ」

貴方「ふーん……(←深く考えないことにした)」

アポ「それより、天界へ行こうよ! 僕の父、神々の王ゼウスの宮殿は一見の価値アリだよ。場所はほら、ギリシアの最高峰、オリュムポス山さ! この山頂と上空が神々の集う天界でね、大勢の神々がこの山の頂に自分の館を持ってるんだ」

 とかなんとか言ってる間に、オリュムポス山に到着。
 目の前には、巨大な雲の門がそびえ立っている。

アポ「あ〜〜けぇ〜〜て〜〜♪」

女神「はぁい〜♪ どぉぞ〜」

 アポロンを迎え入れるように巨大な門の戸が開く。

アポ「この門は、神々の出入りの度に開け閉めされるんだ。防犯対策もばっちりだろ?」

貴方「へぇ〜、あの美人達は?」

アポ「ああ、あれはホライ… 季節を司る女神達さ(※1)。天界の出入り口であるこの雲の門を守ってるんだ。ま、僕くらいになると顔パスだし、同伴者がいてもOKさ。ほら、ホライ達がハニーの愛らしさに見とれてるよ(のほーん♪)」

貴方「うわぁ…、迷惑そうな顔してるよぉ〜(汗)」

 門を抜けた山頂は、意外にも、風もなく雪もない。
 澄み切った大気と白光に包まれた清澄な世界。山頂のあちこちに、青銅で出来た神々の館が建っている。

アポ「良いとこだろ? ほら、あそこで一際光り輝いてるのが、ゼウスの宮殿さ。鍛冶の神ヘパイストスの設計で黄銅で出来てるんだ。ゼウスの召集が下ると、普段、地上や水中や地下に住んでいる神々も残らず宮殿に集まってくるんだよ。さぁ僕らも行こうか」

 アポロンに連れられ、宮殿の大広間に入ると、そこはまさに宴会場。
 大勢の神々が酒を酌み交わしながら談笑にふけっている。

貴方「昼間から酒かい!」

アポ「チッチッチ…… 早とちりだなぁ、ハニー。あれは神酒…ネクタルさ、そして神の食べる果物アムブロシア。僕らの若さとパワーの源さ! これらを口にすると、不老不死を授かり、神々の一員になることができるんだよ。ほら、あの中央で女神の尻を眺めてるのが父・ゼウス、その横でネクタルのお酌をしてる坊やがいるだろう? あの子ももとは人間の王子だったそうだよ。あんまり可愛いから父がさらってきたんだ……(※2)」

貴方「罪悪感ゼロだね、見事だね……」

アポ「? で、向こうでお酌をしてるのが青春の女神ヘーベー(※3)」

貴方「青春…… やっぱネクタルが切れると老けちゃうの?」

アポ「さぁ〜? 豊穣の女神デメテルが飲まず食わずでいたら老けちゃった…って噂は聞いたことあるけど、どうかな〜? 神は変幻自在だからねぇ(※4)」

アポ「それよりさ、父に頼んで、ハニーを僕らの仲間にしてもらおうよ! そうすれば、生き返ったハニーと一生ラブラブで暮らせるだろ♪」

貴方「あ”ー… 遠慮しときます〜」

アポ「嗚呼、そういう奥ゆかしいところがたまらないんだよ! ああぁん、ハニーへの愛が曲となって、この指先から溢れ出るぅぅう〜〜♪ (ついに壊れた…… ーー;)」

 いきなり竪琴をかき鳴らし始めるアポロン(※ 彼は音楽を司る神でもある)。
 ムーサの女神達(芸術などを司る9人の女神)がこれに合わせて歌い出し、他の神々もやんやの喝采。
 宴会は最高潮に盛り上がる〜!!

貴方「素晴らしいだけに、なんかイヤ〜〜!!(涙)」

 トランス状態で演奏しているアポロンの傍を離れ、柱の陰に隠れる貴方。
 すると、一人の男神が貴方に気づき、近づいてくるではないか。
 美形揃いの神々の中では、ほっとするような土臭い顔、足が悪いらしく杖を突いている。

貴方「もしや、鍛冶の神ヘパイストスさん?」

ヘパ「おぉ、オラを知っとるだか? いんや、うちの嫁御(アフロディテ)が迷惑かけただな〜。びっくりこいたべぇ?」

貴方「いえいえ、貴方の苦労に比べれば……」(※5)

ヘパ「なんのぉ〜オラは十分満足しとるんだぁ。ここの神々にしても、遊んどるようで実はちゃーんと世界のことを話しおうとるんじゃぞぉ、毎日、穏やかにネクタルを酌み交わしてなぁ」

貴方「酒の席での話し合い…って奴ですね、サラリーマンがよくやる……(ちと納得)。けど…昼間っから良いんですかねぇ、特にあの人、アポロン」

ヘパ「ああ、太陽の馬車のことなら心配ねえ〜。あれにゃぁ、オラが作った自動制御装置が付いとるでなぁ。アポロンの居眠り対策だぁ…」(※ 嘘です)

にかっ…と笑うヘパイストス。やっとまともに話の通じる神と出会え、ほっとする貴方。
ヘパ「へば、こっちさこぉ。ここは落ち着かねえべ? 良けりゃあ、オラの館でくつろぐとええ。アポロンもしばらくあのまんまだぁ。太陽が沈むと皆、自分の館に戻るでな。アポロンもその時分に、迎えに来るべぇ?」

 迎えは要らん……。
 アポロンに見つからないように、コンサート会場と化した大広間から抜け出す貴方であった。



※1 春夏冬を司る三人の女神。

※2 ガニュメーデース君。水瓶座参照ね〜!
   
※3 ヘラクレスと結婚後、お酌係からは引退。
   その後がまに、ガニュメーデースが就いた。
   なんで、二人が同時にいるねーん!…ってとこには目をつむって下さい(^^;)

※4 デメテルの愛娘ペルセポネが冥界の王ハデスにさらわれた際の話。デメテルの回参照〜!
   けど、デメテルはよく老女に化けてるので真相は謎…???

※5 ヘパイストスの回参照〜!


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
EXIT