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▼ モルペウス & 夢の兄弟達

 ものまね名人、大集合〜!


 夢の神。眠りの神ヒュプノスの息子(※1)。
 人の姿に変身して、夢を見せる。
 太陽の神も近寄らない暗〜い洞窟の奥底に、父である眠りの神ヒュプノスや、数え切れないくらい大勢の兄弟達(夢の神々)と一緒に住んでいる。

 年がら年中、だらだら寝ているパパ(だって眠りの神ですもの♪)の周りで、兄弟達と一緒にゴロゴロ…しているモルペウス。
 しかし、侮るなかれ、その変身能力は折り紙付き!
 変身上手の兄弟は大勢いるが、その中でも、彼の得意分野(&担当分野)は「人間」で、歩きぶり、顔つき、話し方、さらには着衣や姿勢まで、個性を掴んで実に上手に真似るのである。
 その為、他の神々に頼まれごとをすることも多いらしい……。

 有名なのは、水死した男の妻の夢に現れ、その死を伝えた話――。
 あるところに、夫が死んだとも知らずに、その無事を熱心に祈り続ける妻がいた。
 しかし、毎日祈られる神の方はたまらない。
 夫婦愛の守り神こと、ヘラ女神(え”!)は、眠りの神ヒュプノスに、こう命じたのである。 
 ダンナはとっくに死んでることを、夢で伝えてやりなさい!……と。

 この任務の際、ヒュプノスによって抜擢されたのが、ものまね上手のモルペウス(父は息子に仕事を命じて、すぐに爆睡…… ←ええ身分)。
 モルペウスは、死人のような青ざめた顔、びしょ濡れで剥き出しの体に変じて、妻の夢に現れ、切々と「既に自分はこの世にはいない」ことを告げ、見事に任務を果たしたのであった。

 ちなみに、モルペウスが真似るのは人間だけのようで、変身する物によって、担当する夢の神も変わるらしい。
 例えば、兄弟の内、イケロスは鳥や獣や蛇など、パンタソスは岩や樹や水といった生命のないものに身を変えるが得意だったという(※2)。
 他にも、ある者は国王や貴族の枕元についていたり、ある者は民衆の間を動き回ったり……と、結構、仕事は細分化されていたようで、こうして一人一人の仕事時間を短縮しては、兄弟仲良くゴロゴロしていたようである(←とっても私見)。

 さておき、自分がゆっくり寝ていたいから、子だくさんなんでしょうか、ヒュプノス パパ〜??


 ※1 ヒュプノスの回参照〜!
    彼自身も、他の神々に良いように利用されています。
    何かと、都合のよい親子のようです〜(笑)。

 ※2 モルペウス「造形者」、イケロス「威嚇者」、パンタソス「仮像者」の意味だそうです〜!

    ちなみに、モルペウスは、鎮痛剤の「モルヒネ」の語源になっとります〜。 


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